育児をしていると、何度言っても子どもが理解してくれないと思ったことはありませんか。
この記事では、就学前後の子育てが楽になる「しくみ」について書かれている中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社を紹介します。
こんにちは。ダイチです。
私は、2人の子ども(2歳差)の父親で、育児と仕事の両立を目指しています。
育児に役立つ情報を共有したくてブログを作っています。
本書は子育てについて友人と話す中でおすすめされて読み始めました。
読み終わり、私にとって参考になる所が多かったので、みなさんにも紹介したいと思ってこの記事を書きました。
この記事が就学前後の子育てに悩む方の参考になると幸いです。
『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』とは
『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』(以下、『「しくみ」教えてください』)とは、認知行動療法を専門とする臨床心理士の著者・中島美鈴さんが、子育て中のママに向けて、小学校低学年の子どもを持つママを題材に子育ての「しくみ」を伝える本です。
著者の中島さんは、認知行動療法を専門とする臨床心理士という特徴以外にも、本人にADHDの傾向がある、男の子の母でもあるという特徴があります。
そのような中島さんが認知行動療法を自分の生活に落とし込んだ「しくみ」が本書に書かれています。
本書の『おわりに』に、中島さんの「しくみ」について端的に書いてある部分があったので引用します。
私の中に息子の夜泣きのこと、朝ごはんに時間がかかっていたこと、忘れ物が多いことなどが思い出されてきました。今思うと、そのつど、私は自分の専門である認知行動療法を駆使して、乗り越えてきたのでした。世間に流行する、子育てのすてきな哲学とはほど遠い、「いかに生活上の工夫をしていくか」という地味で現実的なノウハウの数々なら自分の中にたくさんあると思えました。
中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社
小学校低学年の子育てが楽になる具体的方法(物の管理、時間の管理)が書かれている
『「しくみ」教えてください』には、小学校低学年の子どもを持つママを題材に、子育てが楽になる具体的方法(物の管理、時間の管理)が書かれています。
具体的には、
- 子ども服を管理するしくみ(物の管理)
- 忘れ物をなくすしくみ(物の管理)
- 朝の時間を管理するしくみ(時間の管理)
- 自分から宿題をするしくみ(時間の管理)
- 夏休みの自由研究をするしくみ(時間の管理)
の5つです。
どれも小学校低学年の子どもを持つ親にとっては、子どもが自分でできるようになってくれたら良いと思うようなものばかりです。
それぞれについて、「しくみ」を簡単に紹介します。詳細については是非『「しくみ」教えてください』を読んで確認してください。
子ども服を管理するしくみ(物の管理)
子ども服を管理するしくみについては、以下の通りです。
- 洗濯物をたたむ段階で着る服一式を丸めてワンセットにする
- 朝起きたら子どもがワンセットを取り出して着替える
注意点としては、子どもにワンセットを組んでもらうようにする。こうすることで、子どもが着たい服を着れないということがなくなる。
平日5日分のセットを作っておく。平日朝の着替えがスムーズになる。
私は子ども服の管理について悩みがあったので、この「しくみ」を知ることができて良かったです。
忘れ物をなくすしくみ(物の管理)
忘れ物をなくすしくみについては、「忘れ物をしてはいけない理由を理解する(認知を変える)」「一人で準備できるようになる(「しくみ」をつくる)」の2つで行います。
「一人で準備できるようになる(「しくみ」をつくる)」については、
- 一緒に考え始める
- 忘れ物をする時の動き(子どもの動線)を確認する
- 子どもの動線に従い「しくみ」を作る
です。
朝の時間を管理するしくみ(時間の管理)
朝の時間を管理するしくみについては、以下の通りです。
- 朝のルーチンを洗い出す
- 洗い出されたルーチンそれぞれの時間を計る
- 10分単位のスケジュール表を作る
時計を読めない場合は、呼びかけてくれるタイマーアプリを使うと良い。
自分から宿題をするしくみ(時間の管理)
自分から宿題をするしくみについては、以下の通りです。
- 夜には寝るまでの制限時間があることを認識する
- 夜のルーチンとかかる時間を洗い出す
- スケジュール表を作る
- 宿題をする時間を確保する
- スモールステップを伝授する
夏休みの自由研究をするしくみ(時間の管理)
夏休みの自由研究をするしくみについては、以下の通りです。
まずは、夏休み全体の宿題について、
- 宿題を全て並べて全体量を確認する
- 宿題ができる日、できない日を確認する
- 宿題をドリルや読書感想文、自由研究などに仕分けて時間を見積もる
- スケジュール表を作る
の段階を経てスケジュール表を作ります。
そのうえで、自由研究については以下の通りのステップを踏みます。
- 見本を見せる(本屋等で自由研究の本を準備して、一緒に見る)
- 子どもが興味のありそうなジャンルでテーマの選択肢を出す
- 必要な準備が何か一緒に調べる
- 子どもがやることリストを作る
- 時折ヒントを出しつつ、調べたこと等をまとめる
「しくみ」の背景の説明が丁寧
『「しくみ」教えてください』は「しくみ」の前提になっている認知行動療法の内容が丁寧に書かれていて「しくみ」の納得感を高めてくれていました。
マンガ部分でも、マンガとマンガとの間の文章での説明部分でも、認知行動療法という切り口でママの悩みをどう考えるのかについて書いてありました。
- ママの悩みについて認知行動療法ではどう考えるのか
- 「しくみ」の紹介
この流れで「しくみ」が紹介されるので読みやすかったです。
子育てに悩む親に寄り添おうとする著者の気持ちが盛り込まれている
『「しくみ」教えてください』は著者の中島さんが子育てに悩む親に寄り添おうとする気持ちが本書全体から感じられます。
実は、本書をおすすめする一番の理由は、これかもしれません。
認知行動療法という「しくみ」の背景の説明が丁寧だから読みやすいというのもあるのですが、それ以上に子育てに悩む親への共感を感じながら読むことができるので、自己肯定感を高めながらどんどん読み進めることができました。
本書の『RINRIN’S Talk』というコラムから一部引用します。(本書では、著者の中島さんがリンリンというキャラクターで登場します)
私はまとめて寝たいんだぁ!
(中略)
ポイントは昼寝でした。時間を決めて寝かしつけ、短時間で起こしておっぱいを飲ませ、遊んであげて、時間になったらまた寝かしつける。生活のリズムが整うと、息子は機嫌のいい赤ちゃんになりました。睡眠で心と体の土台を整えることの重要性を痛感させられました。
皆さん、自己肯定感が下がったらすぐ寝ましょう。明日のあなたはきっと前向きになっていますよ。
中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社
新生児期、乳児期の親なら頷かずにはいられない睡眠の話です。
私も睡眠時間の断絶(まとめて寝ることができない)が育児と仕事の両立できつかったです。
中島さんが仰るように、自己肯定感が下がったらすぐに寝ましょう。
結婚したてのとき、私はよくスーパーの棚の前で泣きそうになっていました。メニューが決められず、「やっぱり魚にしようか」「でも冷蔵庫のキャベツはどうする?」とあれこれ迷ってスーパーの中を何周もし、買い物かごを人にぶつけ、家に帰ると「あー!これが足りないじゃん」と書い忘れに涙しました。
でも今は違います。私にはネットスーパーがあるのです。
中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社
この文章が載っているコラムを読んでいた時も、頷きながら読みました。
私は料理をやりたいと思っているのですが、これまであまりやってこなかったためハードルが高いということと、育児と仕事による時間的制約であまりできていません。
ネットスーパーは使っていません(興味はあります)が、ワタミの宅食(以前、本ブログで紹介しています)やミールキットを使っています。
このように、子育て中の著者だから言えるセリフや子育てに悩む親に寄り添おうとする中島さんの気持ちが本書のいたるところに含まれています。中島さんが育児に悩む私たちに共感してくれているような体験を感じながら本書を読むことができます。
各章の導入がマンガで読みやすい
子育てが楽になる具体的方法がマンガの中で紹介・解説されているので、読みやすかったです。絵で解説があるとわかりやすいですね。
マンガでの紹介・解説の後、文章で具体的方法の理解を深めることができます。
”マンガ→文章”という流れで読むことで、本書を1回読む中でも具体的方法の紹介・解説を2回読むことができるので、知識の定着が捗ります。
ダイチの感想
本書を読んでの私の感想です。
本書を読もうと思ったきっかけ(Before)、本書を読んだ結果(After)、その他の感想の順に書きます。
「しくみ」を知りたかった
育児に対しては夫婦で家庭(育児)のしくみを作ることが大切なのではないかという考えを私は持っています。
子どもとの関係や夫婦間、家庭の中に不満や課題がある場合、その背景にある「しくみ」が問題だと考えて「しくみ」を変えていこうという発想です。
ですが、具体的な「しくみ」について参考になる本を知りませんでした。もし参考になる本があれば、是非読んでみたいと思っていました。
そのような中、『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』というタイトルの本を紹介され、タイトルそのものに惹かれてすぐ読み始めました。
悪いのは、人ではなく行動です。
その行動を誘発する「しくみ」なのです。
中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社
上記は『「しくみ」教えてください』の「はじめに」に書かれていた内容の引用です。
本書には私が求める内容が書かれていると思いました。
そして、本書には子育てが楽になる具体的方法が書かれていたことは、既に本記事で書いた通りです。
子ども服を管理するしくみを導入
本記事を書いている2023年現在、私には5歳の長男と3歳の次男がいて、2人とも保育園に通っています。
子ども服を管理することに課題(洗濯物の山ができる、収納方法がわからない)がありました。
本書には、我が家の課題を解決してくれそうな「しくみ」(子ども服を管理するしくみ)が書かれていたので、早速導入することにしました。
上手く子ども服が管理できて、子どもたちも自分で服を選べるようになると良いですね。
就学前後の子育てで活用可能
本書『「しくみ」教えてください』は、小学校低学年の子どもを持つママを題材に子育ての「しくみ」を伝える本です。
ですが、就学前の子どもを持つ私も参考になった子ども服を管理するしくみがあるように、就学前の子どもを持つ親にとっても本書は参考になると思います。
朝の時間を管理するしくみは、夫婦間での朝の「しくみ」構築にも参考になります。
もしかしたら、子どもが生まれた後の「しくみ」を早めに作るという意味で、妊娠直後の夫婦にとっても本書は参考になるかもしれません。
インターネット上の口コミ
インターネット上の口コミを見てみると、
・マンガで読みやすかった。
・しっくりくる考え方。
・ママを労い、寄り添ってくれる感じ。明日からできそう。
というような本書をおすすめする口コミもある一方で、
・怒らないのは無理。
・この「しくみ」は我が家では相性が悪かった。
・この人が親だったら嫌。
というようなものも見られました。
私にとっては、『「しくみ」教えてください』は、活用できそうな具体的な子育ての「しくみ」が書かれていて読んで良かったです。
ですが、子育ては家庭ごとに違いがあって当然。
本書の「しくみ」を導入できそうなら導入するくらいの軽い気持ちで読んでみたら良いのではないでしょうか。
メリット・デメリット
『「しくみ」教えてください』は、読者に子育てが楽になる「しくみ」を作ることを促す本です。
「しくみ」を作った場合のメリット・デメリットについて書きます(今回はまずデメリットから書きます)。
デメリット
「しくみ」を作り、運用できるようになるまでが大変
本記事で簡単に紹介した「しくみ」を読んでいただいてわかると思いますが、「しくみ」作りは簡単ではないです。特に子どもの特性を踏まえて「しくみ」を作る必要があり、本書を読んだからといって簡単に各家庭において「しくみ」が出来上がるわけではありません。
『「しくみ」教えてください』のマンガの中でも書かれていますが、子どもは親の思うように「しくみ」作りに協力してくれないかもしれません。
メリット
ですが、「しくみ」を作った場合には「時間で得をする」「反抗期も楽になる?」というメリットがあります。
時間で得をする
本書のコラム『RINRIN’S Talk』から引用します。
最初に「しくみ」さえつくっておけば、あとは子どもまかせでいいのです。私は宿題も見ないし、忘れ物チェックもしません。「おふろ入りなさい」とも言いません。とってもラクちんなのです。
(中略)
先に「しくみ」をつくってほうっておくほうが、結果的には、何百時間もトクするはずです。
中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社
「しくみ」を作ることの時間節約効果については、完全に同意です。
「しくみ」通りに子どもが動くようになれば、その動きをチェックする時間を省略することができると思います。
「しくみ」通りに動く子どもという表現は自分で書いていてどうかとも思いますが、子どもが自分で自分のことをできるようになる「しくみ」を親として提供したいと思いました。
反抗期も楽になる?
同じくコラム『RINRIN’S Talk』から引用します。
いつも子どもの行動をチェックしてあれこれ指示していると、いつまでも手が離れません。反抗期には指示に対して反発するようになり、親子でバトルが起こることもあります。それこそ時間をとられます。
中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社
私は、いわゆる反抗期という時期は、親としては子どもの自分作りを支える「見守り期」で、子どもは親とは違う自分を作る時期だと思っています。(以前の記事(「子育ては何歳頃に何をしたら良いか」に回答『0歳から大人になるまで親がすべきこと 子育ての教科書』【書評】)をご覧ください)
ですので、反抗期までに子どもの行動をチェックする必要がないようにしたいと思っています。
親にとっても、物の管理能力と時間の管理能力がつく
そもそも、『「しくみ」教えてください』に載っているような「しくみ」を作ろうとすると、親の物の管理能力と時間の管理能力も鍛えられますね。
これもメリットだと思っています。
本書をおすすめする人
『「しくみ」教えてください』をおすすめする人は「就学前後の子どもの子育てで悩んでいる人」「子どもを成長させる『しくみ』に興味がある人」です。
就学前後の子どもの子育てで悩んでいる人
就学前後の年頃の子どもの育児は、就学前であれば小学校に入っても問題なく周囲についていける段階に成長するのかや、就学後であればいわゆる「小1の壁」で親が悩む時期です。
マンガは小学校低学年の子どもを持つママを題材にしていますが、就学前後の年頃の子どもを持つ親で子育てで悩みがある場合には、本書が役に立つと思います。
子育てが楽になる「しくみ」がわかりますし、著者の中島さんが悩める親に寄り添う感じに癒されます。
子どもを成長させる「しくみ」に興味がある人
就学前後の年頃の子どもがいなくても、子どもを成長させる「しくみ」に興味がある人も読んでみても良いと思います。
『「しくみ」教えてください』の内容は、子どもの年齢に関係なく、子どもを成長させる「しくみ」を作ることの参考になると思います。
子育てで悩んでいるなら読んでみましょう
『「しくみ」教えてください』は友人から「子育てで悩みがあるなら読んでみたら良いよ」と言われて教えてもらい、読みました。
子育てでイライラするということは、「しくみ」改善のサインです。
子育てで悩みがある場合、本書を読んで活用できそうなところは活用して、早く悩みから解放されましょう。
そして、マンガにもあるように、子どものイキイキとした姿を見ることができるようにしていきましょう。
まとめ:「しくみ」を作って子育てをラクに
この記事では、中島美鈴(2022)『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』株式会社主婦の友社を紹介しました。
本書は、小学校低学年の子育てが楽になる具体的方法(物の管理、時間の管理)が書かれています。
具体的方法とは、
- 子ども服を管理するしくみ(物の管理)
- 忘れ物をなくすしくみ(物の管理)
- 朝の時間を管理するしくみ(時間の管理)
- 自分から宿題をするしくみ(時間の管理)
- 夏休みの自由研究をするしくみ(時間の管理)
です。
著者の中島さんの子育てに悩む親への共感を感じながら読むことができるので、自己肯定感を高めながらどんどん読み進めることができますよ。
そして、なによりマンガなので読みやすいです。
本書で子どもに合う「しくみ」を作って育児を楽しんでいきましょう!